近年のゲノム科学の進展によって、蛋白質のアミノ酸一次配列情報をコードしないRNA(アミノ酸配列情報をコードしないため、非コードRNA、非翻訳RNA、またはnon-coding RNAと呼ばれる)がゲノムDNAから大量に転写されていることが分かってきました。non-coding RNAの種類と発現量は生物の複雑さに応じて増加することが知られており、例えば、ヒトでは全転写産物の90%以上がnon-coding RNAによって占められています。これらnon-coding RNAの中でも、microRNAなどの短塩基長non-coding RNA(20-30塩基長)の機能の理解は深まってきています。これに対し、数千塩基長の配列を有する長鎖non-coding RNAも多数発見されてきていますが、それらの大部分の機能は不明なままです。当研究室では、熱などのストレスに対する細胞応答における長鎖non-coding RNAの機能の解明を目指しています。
また、遺伝子発現の制御において、RNAの分解制御は非常に重要な位置を占めています。真核生物のRNA分解は、核内RNA分解と細胞質RNA分解に大別されます。このうち、核内RNA分解は長鎖ノンコーディングRNAの発現制御にも関わっています。当研究室では、感染などの刺激に応答した核内長鎖ノンコーディングRNAの分解制御の解明に取り組んでいます。一方、細胞質のRNA分解はRNA品質管理と遺伝子発現制御の調節を行っています、当研究室では、次世代シーケンス技術を活用して、RNAの分解制御に関する研究を進めております。例えば、DNA障害応答におけるRNA分解制御の役割などを研究しています。
放射線は生体イメージングにおいて極めて重要な位置を占めます。そのため、医療の現場でもPETやCTなどが大活躍しています。当研究室では、小動物用CT装置とPET装置を使って、マウスなどの小動物を生体イメージングする技術の開発と応用に取り組んでいます。
2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故により、福島県浜通り地区は甚大な被害を受けました。私たちは放射線に関する専門家として、震災直後から福島復興支援に取り組んでいます。また、民間企業、地元自治体、および地元の教育機関と積極的に協力連携することで、福島イノベーションコースト構想の実現に貢献したいと考えています。